2020年の東京オリンピックまであと1年となりました。2013年にオリンピック招致が決定して以降、巷には「インバウンド」という言葉が定着しました。オリンピック招致が決定した2013年の訪日観光客数は約830万人、それに対して2018年は3,000万人と、実に5年で3.7倍に急拡大しています。インバウンド需要はオリンピックが終われば過ぎ去るという一時的なものなのでしょうか?
インバウンド市場の拡大は第二の開国と言える、日本の歴史の中でも大きな転換点と考えられ、これはオリンピック終了後さらに本格化するものと考えられます。日本の国際交流を国境を超えた人の出入りで考えた場合、これまではアウトバウンド、すなわち日本人が外に出て行き、海外文化を日本に持ち込み、日本文化の宣伝をするものでした。これが2015年には日本の海外渡航者数と訪日観光客数が初めて逆転しました。これからは外国人が日本に来て日本を知り、それを持ち帰る時代になったと言えます。すなわちインバウンドの国際交流が主流になります。
(図表:日本における海外渡航者数と訪日観光客数の推移)Fig-1
この背景には幾つもの要因がありますが、最も大きいのは中国、アジアやその他発展途上国における所得水準増加に伴い、それまで先進国民を中心としていた海外旅行が発展途上国民にも手の届くものとなった事があります。また受け入れ側の体制としてもそうした観光客需要を取り込むべくビザ発行基準などを緩和しました。確かに日本の伸びは大きいですが、実際こうした理由からインバウンドが増えているのは日本だけでないのです。
(図表:主要国の外国人旅行者受け入れ数) Fig-2
インバウンドの増加は世界的な現象です。また経済成長の源泉としてそれを積極的に取り込もうとする日本にとって、インバウンドの増加は第二の開国であり、決して後戻りすることのない現象です。インバウンドビジネスは多くの事業主にとって、真剣に向かい合うべきことです。